あとかた
文章の流れがとても好き
初めて読んだけれど、すぐに好きだな、と感じた
感覚的な言葉がたくさん、でもそれがわずらわしくなく綺麗だなと思える
かたちにならないもの、残らないもの、遺したいもの、遺すという感覚がないもの
常に同じものはないし、どんどん変わっていく
自分に見えているだけがすべてじゃない、違う人には違う部分を差し出しているかもしれない、誰にもさらけ出していない部分もあるわけで
短編集だけれど主人公を変えながら少しずつ関わっている物語
だから今まで見えていなかったものが浮かび上がったり、外からは見えずに抱えている痛みを感じてしまったり
その人にしかわからない感覚、苦しみ、不安、痛み
でもほんのひとかけらでも、たった一点でも共有できる、受け入れてもらえる人はいるのかもしれない、すべてではなくても、核にほんのり触れるくらいでも
“想いや瞬間を残すことなんてできない。中ががらんどうのかたちばかりが残る。”