SONGS

 

8/1 SONGS 第349回「V6 ~僕らが歩んだ20年~」

 

観ながら泣いた。番組の始まりが紅白の映像でそれだけでもうぐっときていたのだけれど,剛くんの,おかださんに向けられた言葉で涙がこぼれた。

 

「こうやって集まってるときくらいは 何も考えずに笑っててほしい」

 

剛くんのこの気持ちは雑誌で語られているのを何度か目にしていて,そのときもすごくいいなあってじんときていたのだけれど,実際に本人がその言葉を口にしている姿を見るのとでは全然違うなって。受ける重さが違った。しかも相手が前にいる場で,"こうやって"の6人がいる場で。

ここ最近,怒涛のメディア露出で特に雑誌はすごいことになっているけれど,わたしの中では,そこでの文章は本人が発した言葉を別の誰かが文字にして,場合によっては手を加え切り貼りした(可能性がある)ものだという認識があって,そこには文を書く人がすでに持っている印象・物事の捉え方,その場で受けた印象,表現の仕方,目指す構成なんてものが色濃く反映されると思っているから(それがライターの方の持ち味でもあるだろうけれど),その「文字だけ」にすがらないようにはしているところがあって。ただでさえ,思い入れが強い対象ほど自分の見たいように見てしまいがちだと思うから。

だから,そうした第三者の介入なしに本人が話しているその姿を,表情を,声を,ともに感じることのできる映像の迫力はやっぱりすごいなって(もちろん映像だって編集されたものではあるけれど,その部分に関しては直に受け止められるという意味で)。だってさ,剛くんのあの話し方は文字にされたらなかなか伝わらないよ?

だからこそ,文字では知っていた言葉を,剛くんが口にしている姿にとても揺さぶられたのだろうなって。剛くんの言葉にはいつも動かされているけれど。

 

そして数日後にふと思ったこと。あの言葉が出るということは,剛くんにとっても6人は何も考えずに笑っていられる場所なのだろうなと。そうじゃなきゃ,あの言葉は出てこないだろうし,それをおかださんにも思わないだろうなって。わたし,剛くんのご飯の話がとてもとても好きなのだけれど,それもあわせてすごく幸せな気持ちになる。

 

 

あとぞくっとしたところ。個人活動の紹介のあと,それぞれの活動をしている6人がひとつの画面に並び中央に「V6」と出たとき。ぞくっとした。かっこよかった。「個人活動の多様さ」はずっと認識としてあって,雑誌のソロカットのプロフィールを6人分順に読んでは「やってることばらばら!」ってなるのが好きで声高に自慢したくなるのだけれど(媒体によって焦点の当て方やニュアンスが違うのも楽しい),これもやっぱり映像で集められたときの衝撃がすごかった。全然違う。全然違うのに集まってV6やってる。

グループの形は色々あると思うけれど,6人の場合は,集まったときに個々が溶けて融合して新しい何かになるんじゃなくて,個体はそのままの「集合体」で,そこから新しい何かが生まれる,という感覚。剛くんの言葉じゃないけれど,本当に6人が一斉に内を向いたときのエネルギーってすごいんだなって。そこに「音楽」であり「ダンス」という共通項があるのもまたすごい。

個がそのままの存在としてグループになっているのは,剛くんがいまよく言葉にしている「尊敬」あってこそなのかなとも思う。お互いに対する尊敬。剛くんの「想像できないから」も同じ役者としておかださんが背負うものを半分持とうとは思わないというのも,いのはらさんの「何も言ってあげられないけど」も,根底にあるのは相手に対する尊敬なのかなあって。だからこそもともと興味や関心が異なる6人がそれぞれ違う道を進みながらもグループとしてあり続けることができたのかなって。わたしはそういう距離感というか関係性が素敵だなと思う。

 

*    *   *

 

ああやって6人向き合って語っているときの姿は,合宿のときみたいにわいわいしているときの6人と全然違うし,歌って踊っているときもまた全然違うし,それでいて6人が一緒にいるときの一体感はどこでも変わらないのが不思議に思うくらいにすごい。

わたしは,人には相性があるから努力だけではどうにもできない相手って少なからずいると思っているのだけれど,結成=デビューで,年齢もばらばらで,グループに対する考え方も異なっていた6人が,6人もいたのに,こうやって今も一緒に活動しているって奇跡みたいなことなのだろうなあって。もちろん,メンバー間の努力も多分にあったはずだし,相性だけで続けられることもでもないはずで。だからこそ剛くんが言う「一緒にいる」という言葉にすごく深さを感じる。それでいて「ゆらゆら流れていこうぜ」っていうのがほんと。

 

 

「僕らが歩んだ20年」って6人にぴたりと当てはまるなあって。いいなあって。20年間歩み続けてきての今,というのを特にアニバーサリー関連のメンバーの言葉に強く感じる。個人としてもグループとしても。

やっぱり好きだなあと,好きでよかったなあと染みわたる密度の濃い30分でした。